「一般媒介」と「専任媒介」はどっちにしたらいいの?
マンションを売りたいんだけど、「一般媒介」と「専任媒介」って何なの? どう違うの?
不動産を売ろうとして、最初にぶつかるギモンだよね
大半の方にとって、マンションや戸建てといった不動産は、人生においてそう何度も売り買いするものではありません。
「一般媒介」とか「専任媒介」とか、こんな単語に触れる機会もないですよね。
私も、売却をお願いしようとした不動産会社に、「どちらにしますか?」と言われて、本当に戸惑いました。
それぞれにメリット、デメリットがある
一般媒介には、専任媒介にはないメリット、デメリットがあり、同様に専任媒介にも、一般媒介にはないメリット、デメリットがあります。
どちらを選ぶかで、売却価格、売却までの期間に大きく差が出る場合もあります。
つまり、不動産売却において、とても重要な選択だということです。
この記事を読むことで、一般媒介と専任媒介それぞれのメリット、デメリットを理解し、どういう時にどちらを選べば良いのかを知ることができます。
一般媒介でのスピード売却に成功
私は「一般媒介」を選んだことで、「値下げを一切せず、1週間もかからず」というスピード売却に成功しました。
これは、もし専任媒介にしていたら成功していなかったかもしれないとも思っています。
詳しくは私がマンションを売却した際の体験記をお読みください。
一方で、専任媒介を選ぶことで、
「仲介手数料を半額にしてもらえた」
「情報サイトへ物件情報を優先的に、有利な条件で掲載してもらえた」
などのメリットがある場合もあります。
しっかり情報収集した後に選択をすることが重要
結局、「一般媒介」と「専任媒介」どちらがいいの?
その前に、各社の情報をしっかり調べることが大事だよ!
私は、実際に不動産売却を経験してみて、あらゆる場面で「事前の情報収集」が何よりも重要だということを学びました。
この媒介契約についても同じです。
一般と専任の「どちらを選ぶか」も重要ですが、その前に、契約を結ぼうとする業者のことを「知っておく」ことが実はとても重要なんです。
「どちらを選ぶか」は、その後での判断です。
案外、ここが抜け落ちている売主さんが多い気がします。
何について知っておくべきなのかについても、詳しく解説します。
媒介契約の種類について
不動産売買を仲介(宅建業法上の言葉では「媒介」)する不動産会社(宅建業者)との契約には、以下の3種類があります。
3つの違いについて簡単に説明すると以下の通りです。
- 複数の不動産会社(宅建業者)に売却を依頼することができる。
- 不動産流通機構(レインズ)への情報登録義務はない。
- 契約期間に定めはないが、行政指導により3ヵ月が一般的。
- 他の不動産会社(宅建業者)に重複して依頼できない。
- 7日以内にレインズへ登録しなければならない。
- 契約期間は最長3ヵ月。
- 14日に一度は販売状況を売主へ報告する義務がある。
- 売主が「自分自身で」取引相手を探したり売買や賃貸借契約を結ぶこともできる。
- 専任媒介と同じく、媒介契約できるのは一業者のみ。
- 5日以内にレインズへ登録しなければならない。
- 契約期間は最長3ヵ月。
- 7日に一度は販売状況を売主へ報告する義務がある。
- 売主が自分で取引相手を探したり売買や賃貸借契約を結ぶことは「できない」。
レインズ(REINS)とは
レインズとは、法で定められた不動産情報交換のシステムのことです。
「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略。
詳しく知りたい方は、ハトマークサイト(宅建協会)のコチラのページをご参照ください。
レインズに登録されることで、売主側としては、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
・全国の不動産会社の目に留まるので、売却のチャンスが増える
デメリット
・いつまでもレインズに情報が上がっていると、「売れ残り」とみなされて敬遠されたり、価格を下げられる原因になる
各媒介契約のメリット・デメリット
一般媒介のメリット
ではまず、複数社に販売を依頼できる一般媒介のメリットについて説明します。
販売チャンスが広がる
業者には、それぞれに抱える「顧客」がいます。
「〇〇駅の近くで3LDKのマンションが売りに出されたら教えて」というお客さんが各社にいたとします。
A社さんが紹介できるお客さんは鈴木さんと田中さん(仮名)だけだけど、B社にもお願いすれば、B社顧客の山田さんと高橋さん(仮名)にも物件を紹介してもらえる、ということです。
販売チャンスはできるだけ多く得ておくに越したことはありません。
複数の不動産検索サイトに掲載されるので目に留まりやすい
A社さんに頼んだらsuumoとアットホームの2サイトだけだったけど、さらにB社さんにお願いしたことで、ホームズとスマイティにも掲載されました。ということです。
ネットで情報検索される方の目に留まる機会が増えれば、さらにチャンスが広がります。
各社が競い合ってくれる
一般媒介は、せっかく売主探しに奔走しても、成約に至らなければ一円ももらえないという不動産会社側にとってはたいへん悲しい契約(笑)です。
でも、それをいい意味で奮起材料にして、他社に取られまいと頑張ってくれる会社と担当さんにうまく出会うことができれば、売主にとっては非常に有利に働きます。
私の場合は、まさにこのパターンに当てはまりました。契約したA社とB社が、たまたま該当物件を巡ってバチバチのライバル関係にあったため、競うように内覧の予定をバンバン入れてくれて、あっという間に成約に至りました。
一般媒介のデメリット
メリットとデメリットは表裏一体、メリットの裏返しがそのままデメリットになります。
力を入れて販売してもらえない
せっかく複数社と契約しても、残念ながら、他社に横取りされまいと頑張ってくれる業者ばかりとは限りません。
「骨折り損のくたびれ儲け」を避けようと、一般媒介の物件には最初から力を入れてくれない業者もあります。
しかも、一般媒介は販売状況の報告が義務ではないので、やる気がある会社かどうかは分かりにくく、気付けば何カ月もほったらかしにされていた、なんてこともあります。
それで奮起してくれるなら良し、目に見えてやる気がなくなるようなら、さっさと契約を切って他に任せるが吉です。
情報サイトへ重複して登録されてしまう
A社、B社とそれぞれが情報サイトへ登録してくれるのは良いのですが、suumoなど大手のサイトになると、重複して掲載されてしまうことがよくあります。すると、同じ情報がいくつも検索結果に出てくることになるので、検索する側からするとちょっと煩わしいです。
よく見かけるよね、同じ物件が何度も出てくる現象……
あまり同じマンションばかりが検索結果にズラズラ出てくると、「売主必死だな」感(笑)が出てしまいます。
別にどう見えようが売れれば構わないのですが、正直あまり意味がないし、効果も薄いと思います。
何度も同じやりとりを繰り返さなければいけない
そもそも、媒介契約を結ぶのは大変です。
売りたい物件について説明し、相手のアピールポイントやら販売実績やらを長々と聞かされ、よしじゃあ契約しましょうとなったら、面倒な書類を書かされ、そのたびに業者が物件の状態を確認しに自宅にやってくる。
複数社に頼むメリットがあるのは事実ですが、あまり多くてもメリットより煩雑さの方が上回ってしまう気がします。
5社も6社も同時に契約している方を時々見かけますが、面倒じゃないのかなぁ、と、売却を経験した身からすると思ってしまいます。
契約相手は厳選するようにしましょう。
専任媒介・専属専任媒介のメリット
では、一業者だけに絞って契約する専任媒介、専属専任媒介には、どんなメリットがあるのでしょうか。
定期的に販売状況を知ることができる
契約だけしてほったらかしても、何もペナルティがない一般媒介と違い、専任(専属専任)媒介には、週一または二週に一度の報告が義務づけられています。
自分の物件にどれぐらいの反応があるのかを知れること、また、販売のために契約した業者がどれぐらいの活動をしてくれたのかを知ることは、今後の販売方針を決める上で重要です。
他の不動産会社からも声がかかることがある
売りたい物件を買ってくれる相手は、何も個人の客に限ったことではありません。別の不動産会社が自分の顧客に紹介したり、リフォームで付加価値をつけてさらに高額で転売を狙う場合もあります。
専任媒介にすれば必ずレインズに登録してもらえるので、不動産会社の目に留まる機会を増やす意味で効果があります。
力を入れて販売してもらえる
一般媒介は、成約に至らなければ一円ももらえない悲しい契約と言いました。
その点で、一社のみにお願いする専任媒介であれば、売れれば必ず自社の売上に繋がるため、業者としても本腰を入れてくれる確率が大幅に上がります。
そのため、何かとインセンティブを設けて専任契約を促してくる業者も多いです。
具体例をあげると、「媒介手数料を通常の半額にする」、「情報サイトへの掲載用の写真の枚数を増やしてもらえる、CG加工などで見栄えをよくしてもらえる」などです。
ちなみに、専任と専属専任の大きな違いは、自分で買主を見つけられるか見つけられないかぐらいなので、その辺も業者にお任せしたい、特にツテなどない一般の方であれば、専属専任の方にして、その分のメリットを享受した方が良いと思います。
というわけで、「専任媒介」は候補から外して、実質二択。
専任媒介・専属専任媒介のデメリット
機会損失
一方、一社にしか依頼しない専任媒介、専属専任媒介では、複数社に頼むより購入希望者の目に留まる機会は当然減ってしまいます。
ただし、前項のように同じ情報ばかりが重複して見られても仕方ありません。
「数打てば当たる」もほどほどで良いなら、いっそ一社に絞ってしまうのも手です。
囲い込み
専任はこれが厄介なので、くれぐれも気を付けてください。
囲い込みとは、他社に取られたくない一心で、最初だけ調子の良い言葉(やたら高額での査定額など)を並べて専任契約を結ばせ、自社のみで情報を独占して、売主の販売機会を失わせることです。
専任媒介にはレインズへの登録義務があるのですが、それを見た業者が問い合わせても「担当が席を外している」、「他のお客さんと話が進んでいる」などと言って他社に情報を渡さないといった手口も横行しているようです。
私もマンション売却を経験してみて、不動産業界というのは何ともクセのあるところだなぁ、という印象を抱きました。
そんなことをしながらも、ちゃんと買主を見つけてくれるなら目をつぶるのですが、あくどい手口を使わないといけない時点でまぁお察し、ですよね。
そのせいで売れるものも売れず、値段を下げなきゃいけなくなった、なんて踏んだり蹴ったりです。
上辺の言葉に惑わされず、契約相手の本音がどこにあるのか、よく見極めるようにしましょう。
契約前に確認しておくべき情報(重要!)
さて、媒介契約の違いについて理解したところで、重要なのはここからです。
媒介契約を選ぶ基準は、ざっくり分けると次のようになります。
つまり、媒介契約の種類の違いは、「任せたい」業者が一つか複数かの違いでしかない、ということになります。
契約前に確認すべき事項
過去の販売実績
まずは、その業者が過去どういった物件を扱ってきたのか、実績を確認しましょう。
できれば、販売に至るまでの期間も確認できればベストだと思います。
似たような物件の販売実績はとても参考になります。
特にマンション売却の場合は、同じマンション内で過去に部屋を売ったことのある業者が圧倒的に有利です。
業者にとってもアピールしたい実績なので、たぶん聞かなくても向こうから教えてくれるはずですが、必ず確認するようにしましょう。
専任媒介(専属専任媒介)にした場合の優遇内容
専任にすることで、たとえば仲介手数料が半額になります、などの優遇がないか確認しましょう。仲介手数料が仮に150万円ほどだとしたら、75万円分他より安く売れても、その分早く売れれば結果オトクであったとも言えます。
基本的に仲介業者の立場からすれば専任媒介を結びたいものなので、釣るための「エサ」は用意しているものです。
逆に言うと、売主から見れば単純に販売機会の減る専任媒介は、何の「エサ」もない状態では、あえて選ばない方が良いとも言えます。
本当に「優遇」なのか、囲い込みのための方便ではないか
いくら「エサ」が美味しそうでも、その後急に「釣った魚にエサはやらない」となってしまっては元も子もありません。
経験のない身では、なかなか見極めが難しいところなんですが。
その業者が一般媒介の物件をほとんど扱っていない、担当営業がやたら耳ざわりの良いことばかり言ってくる、など、会社の姿勢を判断材料にすると良いと思います。
担当営業の熱意、仕事の早さ
上記のあれこれを訊いてみたりしているうちに、その受け答えで、担当さんの仕事への姿勢も見えてくるはずです。
やる気がなさそうな人や、逆に調子のいいことばかり言ってくるような人は避けるようにしましょう。
言いにくいこともきちんと話してくれるか(たとえば私が最初に話した営業さんは、「一般媒介契約のメリット」もきちんと説明してくれました)、こちらの弱みにつけこむような進め方をしないか、などを確認するのも大切です。
メールの返信や電話の折り返しが早い、というのも大事なポイント。
まとめ
一般媒介・専任媒介・専属専任媒介という、普段なじみのない媒介契約。
その違いと決め方について、実際にマンション売却を経験し、スピード高額売却に成功した立場からお伝えしました。
私の場合は、一般媒介契約を選び、契約した二社が互いに競ってくれたおかげで、スピード売却を実現することができました。
地域、物件内容などによっても、売却を任せるべき最適な業者は変わってきます。
まずは、自分の売りたい物件を、どんな業者が「売りたい!」と手を挙げてくれたか、よく見極めるため一通り話をしてみることが大切です。
売りたい物件について話をしながら、過去の実績や専任にした場合の優遇制度、担当営業の熱意などをしっかり確認してください。
一般にするか専任にするか悩むのはその後、です!
メリット、デメリットを知って、売りたい物件に合った最適な媒介契約を、最適な業者と結ぼう!