長々と書き連ねてきたマンション売却録も、ようやく今回で最後です。
売買契約の締結、その後の引き渡しまでをお伝えします。
売却が決まるまでのドタバタ記録はこちら↓
売買契約を結ぶまで
売買契約までのスケジュール
売却が決まった翌日、メガネ君が今後の手続き説明に再訪してくれました。
言われたことをまとめると、以下の通り。
- 今、大急ぎで先方のローン仮審査を進めています。
- 無事に審査が通れば、次の日曜に「売買契約の締結」をします。
- 契約の際、物件価格の約5%程度が手付金として買主から支払われます。
- 以降のキャンセルには、お互い手付金と同額の支払いが必要になります。
つまり、
- 「買うのやめた」とするには、手付金を放棄すること
- 「売るのやめた」とするには、手付金を返し、さらに同額を買主に渡すこと
が必要、というわけです。
手付金と言っても100万円以上の金額になります。
ということは、この1週間の間に買主さんの気が変わらず売買契約さえ締結できれば、今回の売却は予定どおり進められる可能性がぐっと高まる!……はず。
いよいよマンションの売却が現実的になってきました。
売却が決まったことを他社へ伝える
他社さんへお断りの連絡をお願いしますね!
メガネ君からも勝利宣言 念押しされてしまいました。
私としても、媒介契約やらの長ったらしい書類を何度も書き、内覧の度に焦りながら片付けて、なんて疲れる作業を繰り返したくはありません。
A社以外のところとはまだメールまたは電話のやりとりだけでした。
実際に会う日を決めていた会社も2社ほどありましたが、「おかげさまで他で売却が決まりましたので」とすべてお断りの連絡を入れました。
A社のMさんにだけは、詳しい経緯を話し、「そういうわけで、今週末の売買契約までは、いったんすべてストップさせてもらいたい」という保険をかけた言い方をしました。
Mさんはめげることなく、翌日にすぐまた電話してきて、「別の内覧したいという方がいるんですが」、という連絡をくれたりしたのですが、とりあえずそれも保留にさせてもらいました。
売買契約の締結
「急に向こうの気が変わって、キャンセルされたらどうしよう?」
不安を抱えながらの一週間を過ごし、次の日曜日。
幸いなことにキャンセルされることはなく、先方のローン仮審査も無事OKが出て、予定どおりB社の打ち合わせ室で売買契約を結びました。
私、姉、先方のご夫婦、メガネ君、Tパイセンの6名でテーブルを囲み、次々と差し出される書類に目を通し、サインし、印鑑を捺しました。
たっぷり2時間以上かかりました。
どうしてなのか、めちゃめちゃ緊張しました。
先方も同じことを言っていて、お互いに競うように何度もお茶をおかわりしました(笑)。
Tパイセンが宅建士の免許証を提示した後、重要事項説明書を一文字残らず最初から最後まで読み上げた辺りは若干のダルさを感じましたが、それもある意味儀式めいていて、何とも言えない「引き返せない感」を演出してくれたように思います。
おかげで、その後も先方が翻意することなく、最後まで何のトラブルも起こりませんでした。
結果として、不動産大手のB社さんに今回おまかせできて良かったです。
書類も分かりやすくしっかりとまとめられていたし、連絡や説明も最後まで本当に親切丁寧でした。打合せ室も広くて立派だったし。儲かってんなぁ(笑)。
B社さんからしても、媒介契約からたった2日、広告をどこにも出さずに、売り手と買い手双方から100万円以上の手数料をゲットできて、非常においしい商売ができたんじゃないかと思います。
手続きの最後には支店長まで登場し、「この度はまことにおめでとうございます」と深々とお辞儀をしていただきました。
その日の夜は、少し高いシャンパンを空け、UBER EATSで頼んだお寿司でささやかなお祝いをしました。
不思議なことに、その日以降、長く住んでいたはずのマンションの部屋が、どこかよそよそしく感じるようになりました。
実際、契約上はもう自分のものではない部屋。
自分の気持ちも、次に住む部屋の方へ向かっています。
こういうものなんですね、家を売るって。
リフォーム会社の来訪
いよいよ残るは、家の鍵を買主さんに渡し、売買代金の残りや不動産会社への手数料など諸々の支払いを全部済ませる「引き渡し」という手続きのみ。
これでマンションの売却はすべて完了となります。
私の方は、引き渡しまでに次の住まいを決め、引っ越しを済ませて家の中をカラにしておく必要があります。
15年溜まりにたまった家財を整理し続ける日々が始まりました。
引き渡しの日取りはすぐには決まらず、だいたい3カ月後ぐらいの予定です、とだけ言われていました。
「もっと早くても大丈夫ですよ」と言ったんですが、「先方のリフォームの詳細を詰める必要があるので、どうしても時間がかかります(Tパイセン)」とのこと。
なぜなら、まず大前提として、
引き渡しまでにローン契約が完了してないと、当日にマンションの代金を払ってもらえない
→ 今回、買主さんは全面リフォームを希望
→ リフォーム費用も込みで住宅ローンを組む予定
→ リフォームの詳細を決め、費用が確定しないとローンの金額も決まらない
なるほど、納得。
そんなわけで売買契約から2週間後、買主さん、B社のお二人がリフォーム会社の方を連れて再訪されました。
「リフォーム費用見積りのために現地を見たい」とのことです。
買主さんご夫婦は、「ここまで決めるのに何度も夫婦喧嘩したんです(笑)」という手書きの間取り図案を見せてくれました。
3LDKのよくある間取りだった部屋はかなり大胆に寝室とリビングを広くとった1LDKに。洗面所、キッチンの位置も広さも向きも変わっていました。
なんでも、洗面所には衣類乾燥機を絶対置きたい。でも奥さんの背があまり高くないから洗濯機の上ではなく横に置きたい。そのため洗面所をグッと広く取りたい、だそうで。
正直、洗濯機パンとかもヤバいレベルで掃除が必要だったので、これなら一から取り替えてもらえそうだ、と、いっきに気持ちが軽くなりました。
最終的にどこまでどんなリフォームをしたのかは知る由もないのですが、どんどんと自分の手を離れていくこの部屋に、寂しさよりも清々しさを覚えました。
私の方は、「引っ越しに備えて、今必死でメルカリさんのお世話になってます」と、どうでもいい話をしました。
ちなみに結局メルカリさんだけでは追いつかず、最終的にBOOKOFFさんへ投げ売り状態でまとめて引き取ってもらったのは、引っ越しあるあるに違いない。
さて、この時、できる男・Tパイセンが、ご夫婦の聞こえないところでまた一言。
お引越しまでに、上階へ正式な苦情を入れておいて下さいね!
……うっ、やっぱりあの足音は苦情レベルですよね、そうですよね。
もう既に何度もやった手ではありますが、これからこの部屋に住むご夫婦のために、私もできることはやっておこう、と、
- マンション管理組合を通じて苦情の申し入れ
- こちらの気持ちをつづった長いお手紙を郵便受けに直接投函
という行動を取りました。
「正直に言いますがあなた方のせいで引っ越しを決めました、もう今さら謝ってもらおうとは思いませんが、この後に住まわれる方のために、どうか今後は配慮をお願いしたい」
などなど、これが最後と言いたいだけ書き連ねてみたのですが。
見事なまでの無反応。足音に対する配慮や改善も皆無。でございました。
いや~、こういう人種の思考回路を知りたい。どうしたらこの訴えを無視できるのか。
購入してくださった若夫婦の新生活に支障をきたしていないことを祈るばかりです。
引き渡しは3カ月後
それからしばらくし、引き渡し日が3カ月後に決まったという連絡がありました。売買契約締結からぴったり3カ月後、場所は同じくB社の打ち合わせ室にて。
売買契約は印鑑押すだけなので日曜でもできましたが、引き渡し当日には売買代金や不動産会社への媒介手数料等で大きなお金を動かす必要があるため、銀行の開いている平日に行われるそうです。
さて、いきなり3ヵ月も間が空き、引き渡し当日までヒマになってしまいました。
正確には、引っ越しに向けて荷物の整理など、やらなきゃいけないことは山ほどあるんですが、マンション売れるまでがあまりにバタバタだったため、完全にランナーズハイ状態になっており、実は売却が決まってすぐに次に住む場所を探し始め、職場からも近い良さげな賃貸マンションをもう見つけてしまっていました。
初月は日割り計算になるということなので、引き渡しギリギリに引っ越すのが一番良いのは分かってるんですが、本音は一刻も早く引っ越したくてたまりません。先方の大家さんからも、なるべく早めに契約してほしい(空室期間を長引かせたくない)とも言われていて、その気持ちも分かります。
結局、引き渡しより3週間も早く引っ越しました。
引っ越し後にも掃除しに戻ったり、置き忘れたものがあったり(引っ越し業者がイマイチなとこだった…)で、結果として早めに引っ越しておいて良かったです。
引っ越しや新居については売却とは関係がないので、別の機会にお話しできればと思っています。15年ぶりの引っ越しは、それはそれですごく大変でした。
ローン完済と抵当権抹消手続き
この2つが一番「具体的に何をすればいいのか」迷った手続きでした。
だけど実際は何にも難しいことはありませんでした。
住宅ローンの完済手続き
引き渡し日が決まってすぐ、住宅ローンを組んでいる銀行へ出掛け、「住宅ローンの一括返済をしたいんですが」と案内の係の方に言いました。
「ローンの一括返済」……!!
ずっと言いたかったこの言葉……
「こちらで手続きができます」と案内されたのは、消費者金融でお金を借りるところみたいな狭いブース。
中に入ってモニターの前に座り、画面の向こうのガイダンスに従って、口座番号を入力したりの手続きを進めていきました。
ちなみに、完済日=引き渡し日になります。
引き渡し当日、B社での引き渡し手続きが終わったその足で銀行へ行き、窓口で手数料などを支払って完済が完了、というわけです。
今日はその申し込みだけなので、モニター前でのやりとりは30分もかからずに終わり、受付済みを証明する書類が2、3枚ペラッと機械から吐き出されてきました。
書類には、完済するローン残高がいくらか、当日は銀行印を持って窓口へお越しください、など簡単な案内が書かれていました。
抵当権抹消手続き
この「抵当権抹消」については、具体的な手続きは謎のままです。なぜなら。
B社さんから紹介された司法書士さんに丸投げました……
こういう時に、知識の有無で差が出るなぁと思います。
見慣れない用語が多くて馴染みがないだけで、実は手続き自体はさほど難しくないらしく、自分でやろうと思えばできるようです。
司法書士代を節約しようと思われる方は、チャレンジしてみても良いかもしれません。
今回、私は全方向あまりに無知でした。
あとは、色々短期間にありすぎて、やってもらえるものは誰かに押し付けたかったというのもあります。
物件引き渡しで、売却が完了!
さて、無事引き渡し日までに引っ越しも完了し、当日は半日だけ有給休暇をもらって、準備は万端。
……のはずが、人生初の多額の売買取引や15年ぶりの引っ越し作業が、やっぱり思いのほかストレスになったようで。
当日の朝、なんと。
ものもらいで片目が開かない(泣)。
よりによってなんでこの日にーー!!
あさイチで眼科に駆け込み抗生物質入りの目薬をもらいましたが、すぐに腫れが引くわけもなく、結局、お岩さんのような顔にメガネをかけた状態で引き渡しの場へ向かいました……。
この日に私が持っていったのは下記の通り。
- 鍵
- 身分証明書
- 登記識別情報(権利書)
- 実印
- 印鑑証明(発行から3ヶ月以内のもの)
- 仲介手数料の残金(私は当日、銀行で振込)
- 付帯設備取扱説明書やマンションの管理規約など買主に渡す書類
設備のトリセツや管理規約などは、マンション購入時に分厚いファイルにまとめてドサッと渡されて以来、押し入れの奥にしまいっぱなしだったのですが、まさか今度は自分が丸ごとドサッとそれを人に渡す日が来ると思いませんでした。捨てなくて良かった……。
手続きの流れは売買契約の時と同じです。ただし、取り交わす書類は契約の時ほど多くないので、時間はもっと短くて済みました。
この日はとにかく、しかるべき人に、しかるべきお金がちゃんと渡ったかを確認するのが主目的という感じでした。売買代金、媒介手数料、登記代行手数料などなど。
私も、ローンの全額返済分を引いても、とんでもない額が口座に残りました。
最後に再び支店長が登場し、「この度はおめでとうございます。」で終了。
長かったような、あっという間だったようなマンションの売却劇はこれで本当に終了しました。
やっぱり最後までどこか現実感がなく、まさに「宝くじに当たったような」気分のままでした。
マンション売却録・最後にまとめ
15年住んだマンションを売ろうと思い立ち、一括査定を申し込んだ日から6日目、一週間経たずして希望額での売却が決定しました。
売買を媒介してくれたB社と契約を結んだ日からで数えると、なんとわずか2日後。
公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」によると、レインズへの登録から売却に至るまでの日数の平均は「74.7日」だったそうです。約2ヶ月半ですね。
つまり、今回のケースはかなりの短期決戦だったということになります。
付け焼き刃で知識を得ながら、必死で部屋を片付けながらの売却活動だったので、正直これ以上短期間での売却はムリです。死にます。
かと言って、何か月も売却活動を継続するのは、おそらく今回以上につらかったでしょう。
内覧や物件写真の撮影が今回のように完全に一日で完結するのは稀だと思います。
誰かがやって来る度に部屋を片付け、対応し、なのに「今回はちょっと……」と購入見送りの連絡を受け、売れるまでそれが繰り返し。
そうこうするうち、「このままでは売れない」と価格引き下げの決断をしなければならなくなったり、転勤などの理由の場合、家を手放さないといけないタイミングに限りがあるため、大幅なバーゲンセールで投げ売ったりしなければ間に合わないケースもあるでしょう。
また、費用の面でも、「今の住まいを売って住宅ローンを一度精算しないと、次の住まいのローンが組めない」ケースがほとんどだと思うので、売るタイミングと売りたい価格のバランスを取るのは至難の業です。
今回、私は本当に運が良かったと思います。
あらゆる面でタイミングも良かった。
ただし、あらかじめ知っていればチャラにできる程度のアドバンテージであったとも思います。
少なくとも、「マンション価格の相場」と「過去の販売実績」の2つだけは、絶対に調べた上で不動産仲介業者との打ち合わせに挑む必要がある。
これから不動産売却へ進もうとしている方に、これだけは強く強くお伝えしておきたい。
ここまで読んでくださったあなた、長々とした個人的な記録に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
もしあなたが、不動産の売却を考えてこのブログを見てくれているなら、私の体験記が少しでも何かをお伝えできるものになっていたら幸いです。
まだまだこのブログは生まれたばかりのひよっこです。
これから、不動産や住まいにまつわる記事を色々と書いていきたいと思っていますが、それに先立って、このブログを書いているのはこんな経験をした人間なんだ、ということをお伝えしておく必要があると考え、この売却録を記しておくことにしました。そうすることで生まれる説得力もあるんじゃないかと。
一生暮らすつもりでマンションや家を買い、住宅ローンを組むというスタイルがまだまだ一般的な中で、それを売却した経験のある人はきっと少ないのではないでしょうか。
せっかくなのでその経験をシェアしたいという思いもありました。
それぐらい貴重な体験をしたと思っています。
だけど想定以上に長くなってしまい、途中で「誰が読むんだ、こんなもの」と投げ出したくなりました。
立ち上げたばかりのブログで、実際読んでくださっている方もほぼゼロ、反応も皆無でした。
壮絶な壁打ちでした。
さっさとこんな記事は止めて、ちゃんと「読者の悩みを解決できる」ような記事を書いていくべきじゃないのか、と思い続けながらも、どうにか書き切りました。
結果ただの遠回りだったとしても、一つのことをやりきったという小さな成功体験にはなりました。
これからは、もう少し読んでくださる方のためになるような記事を書いていけたらと思っています。
これからもお付き合いいただけたら、とても嬉しいです。ありがとう。