前回、地元の中堅不動産A社が前のめりにやって来て、一般媒介契約を結ぶまでをお話ししました。
急展開すぎて、何がなんだか……
今回は、その次にやってきた二社目の不動産仲介会社とのやりとりの記録です。
一社目との契約だけでは分からなかった、以下の点についてお話しします。
- 同業同士のライバル関係とそのメリット
- 物件の売却価格を決めるヒント
- 仲介会社に確認しておくべきポイント
一社目との契約後の心境について
高揚して夜眠れず
15年住んでいた自分の家を売る。
昨日まで想像もしていなかった方向に突然歯車が回り出し、A社がやってきた日の夜は、わけの分からない高揚で眠れませんでした。
ほんの昨日まで、私にとって家とは住むものであって、メルカリに出すみたいに「中古で売る」ようなものではありませんでした。
なのに、自分がまだ住んでいる家に「〇〇万円」という価格がついた。
他ならぬ自分の意思でその値段を決めた。その事実がまず信じられません。
しかも、その値段は想像よりはるかに高い価格です。
え、本当に売れるの? そんなわけないよね? でももし売れたら?
もし本当にマンションが売れたら?
もし売れたら。
住宅ローンが一気にゼロになるばかりか、今まで手にしたことがない額の貯金が手元に残ります。
それを元手に、次の住まいを一括購入…とまではいかない額ですが、頭金にするには余りあります。
いったん全部置いておいて、賃貸住まいにしても良い。
うん、どちらかというとそっちがいいな。
せっかく買ったマンションで、今みたいに近隣の騒音で悩むのはもうイヤだ。
新しい住居を買うにしても、ちゃんとした知識を身につけて、じっくりと決めたい。
「宝くじ当たったら何に使おう」と大して変わらない温度で、あれこれ空想にふけりました。
業界大手・B社登場!
B社とも一般媒介契約を結ぶ
眠れない一夜が明け、翌日にまた不動産会社から電話をもらいました。
その名を知らぬものはない業界大手、以降B社とします。
A社の時よりは少し落ち着いてアポを取り、さらにその翌日にお会いしました。
B社の担当・N君は、まだ物慣れない様子の若いメガネっ子(言い方)でした。
昨年入社したばかりらしい。
地元は別の所で、こっちに赴任してきてもう一年経つのに、まだ引っ越しの段ボールが全部片付けられてない、なんてことを話してました。
今回はこのN君一人ではなく、上司だというTさんも付き添っていました。
私の担当はN君の方だということで、基本は控えめにしていたT先輩ですが、要所要所でN君のフォローを入れてきます。
なかなかの手練れです。
「実は弊社のお客様で、是非そちらのマンションを買いたいという方がいらっしゃいまして…」
A社と同じようなことを言ってきます。
それはそれは、是非一度この物件をご紹介いただければ、とか言いながら、このB社とも一般媒介契約を結ばせてもらいました。
売り出し価格は、A社の時と同じです。
そりゃそうですよね、同じ物件が違う価格でSUUMOに並んでたら、誰だって安い方で買うってもんです。
売却価格は適正だったの?
その際、ちょっと心に引っかかっていたことを訊いてみました。
「A社には、『もっと高くても売れますよ』って言われたんですが。
もしかしてこの値段は安すぎましたか…?」
するとN君ではなくT先輩がすかさず言いました。
「いえ、それがA社の得意なやり方なんですよ」
どういうことかというと。
- 他社より高くで売れると言って売主を誘惑
- → 専任媒介契約を結ぶ
- → でもその後、なかなか売れない
- → 仕方なくじわじわと値段を下げていく
- → それでも売れない or 結局他と同じような値段でようやく売却
これがいわゆる「囲い込み」。
うーん。どこまで本当なのかはともかく、なかなか一筋縄ではいかない業界なのね、ということだけは分かった。
同業同士のライバル関係
なんでもこのB社、ずっとうちのマンションの売却をほぼすべて手掛けてきたそうです。
なぜなら、うちのマンションの管理会社が同じB社系列だから。
しかし。この数年、直近2件の売却はたて続けにA社に契約を持っていかれたらしい。
そう言えば、A社のMさんも同じことを言ってました。
しかも、直近の販売実績がうちのマンション過去最高値だったとも。
「僕が売りました!」
とアピールされました(笑)。
「A社さん、最近勢いあるんですよね~」とB社のお二人、
あふれるライバル心を隠そうともしません。
ちょっとニヤニヤ(・∀・)
大いに張り合っていただいて、早いとこ買ってくれる方を見つけてもらえれば、こちらとしてはどっちでもOKです。
うまくすれば同業同士で張り合ってくれるのが、一般媒介契約のメリット!
最上階の部屋よりも高値であることが判明
Tパイセンできるな、と思ったのが、そんなA社ディスだけで話を終えず、ちゃんとこちらの疑問にも答えてくれたことです。
「そういうわけで、弊社でこのマンションを売らせていただいたのは直近で3年前になってしまうんですが、その時はたまたまこちらのお部屋と同じ間取りで、さらに最上階でしたが、最終的に今回よりも安い価格での販売でした」
最上階より高い値段!
いっきに自信回復です。
Tパイセンありがとう!!
実際の資料もいただきました。こういう販売履歴っていうのは一般に公開されてて、誰でも確認できるんですね。
そんなこともこの時に初めて知りました。
不動産の価格を決めるのにすご~く参考になるデータだと思うので、中古マンションの売却を考えている方、それから逆に購入を検討している方も、ぜひ事前に確認しておかれることをオススメします。
以下のサイトから確認ができます。
マンションレビュー
具体的なマンション名から、その物件の過去の取引履歴を確認できる。
マンションの口コミなどもチェックできる。
ホームズ
賃貸価格も一緒にチェックできる。
マンションナビ
イエウール同様、一括査定の申し込みもできる。
国土交通省 土地総合情報システム
「実際に行われた不動産の取引価格をご覧になりたい方へ」を参照
物件の価値を知るヒントになるので、上記サイトは必ず確認しておくこと!
本音を言っちゃうと、昨今のマンション価格高騰を考えたら、それでもやっぱりちょっとだけお値打ち価格すぎたんでは、という後悔は拭えないんですが。
でも多少は知恵をつけた今冷静に考え直しても、プラスできてせいぜい80~90万円かな、というところです。
いや、90万円大きいじゃん!と言われそうですが。
たとえそれだけ上乗せして売り出しても、最終的に値引きして、結局は今回売った値段に落ち着いた可能性も高いです。
実は3年前の最上階の部屋も、売り出し当初はもっと高い値段を付けていたようです。
私の場合、「あれ、ちょっと控えめすぎた?」という後悔が最初にあったため、早くから「値引きはしない」ということを不動産会社にハッキリ伝えていました。
おかげで、余計な値引き交渉に時間を取られずに済んだのは事実。
これ以上は「たられば」になるので、私のマンションはこの値段で売れる運命だったんだ、と思うことに致します。
媒介契約を結ぶ会社の実績(過去の販売実例)も必ず確認すること!
まとめ
まとめ
- 不動産流通業の中でもかなりの大手・B社と一般媒介契約を結ぶ
- A社とB社は、うちのマンションの売却を巡って熾烈なライバル争いを繰り広げていた
- 両社の過去の販売実績を教えてもらう
- 自分で決めた売却価格は最上階より高値だった!
次回、いよいよこのマンションを買いたいという方が内覧にやって来ることになり、必死で部屋の中を片付けたよ、という話と、内覧予約にまつわるドタバタ劇についてお話しします。